独特のキリッとした苦味と練乳の甘味が特徴のベトナムコーヒー。でも何を持って「ベトナムコーヒー」というのでしょうか。
ベトナムコーヒー はいくつかの特徴がありますが、その中でも最も大きな特徴は独特の苦味のある濃いコーヒーに練乳の甘味が含まれたものです。
ベトナムコーヒーは日本ではあまり出回っていない品種のコーヒー豆や器具を使っていますが、特徴さえつかめば自宅でもベトナムコーヒーのあの味を再現することもできます。
また本場ベトナムではベトナムコーヒーのあの苦味や練乳をいかしたココナッツコーヒーやヨーグルトコーヒーなど、日本では飲むことができないいろいろなベトナムコーヒーを飲むこともできます。ベトナムに行く機会があるならぜひ一読くださいね。
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ここが違う!ベトナムコーヒーにある4つの特徴
ベトナムコーヒーは以下の4つの特徴があります。
- 独特の苦味があるベトナム産のコーヒー豆(ロブスタ種)を使っている
- バターやニュクマム(ナンプラー)を使い深煎り焙煎している
- フランス製のフィルター「カフェ・フィン」で濃く抽出している
- 牛乳のかわりに練乳が入っている
練乳なら日本にありますが、「ロブスタ種」のコーヒー豆はスーパーや珈琲店ではあまり見かけませんし、バターやナンプラーで焙煎したコーヒー豆やカフェ・フィンはなかなか見つけることはできないかと思います。
でもベトナム「風」コーヒーなら自宅で作ることもできます。そして若者の間で人気のカフェ「サンマルク」で提供している「ベトナム珈琲」も、そのベトナム「風」コーヒーです。
サンマルクカフェにあるコーヒーが苦いのは?かつてあったベトナム風コーヒー
サンマルクカフェのコーヒーは苦いと感じている人も多くいるようですが、それで過去にベトナム珈琲がメニューにあったのかもしれません。
サンマルクカフェのコーヒーは深煎り焙煎した苦味のコーヒー。
そしてサンマルクにかつてあったベトナムコーヒーは、ベトナムコーヒーの特徴を生かしてサンマルクのコーヒー豆を使ったベトナム「風」コーヒーでした。
深煎り焙煎した豆をエスプレッソ抽出し、これに練乳をたっぷり入れて飲むのがサンマルクのベトナム珈琲です。
豆はアラビカ種を使っていますので厳密にいうとベトナムコーヒーではありませんが、むしろ日本人にとっては馴染みのある飲みやすい味になっています。
サンマルクのベトナム珈琲を再現してみたという方はこちらの記事を参照してくださいね。
千葉県生まれのコーヒー「マックスコーヒー」がベトナムにあるワケ
ベトナムにある日本の缶コーヒーは輸入されたものが多い中、マックスコーヒーはベトナム現地で製造されています。
最近では全国区で販売されているものの、昔は千葉周辺で限定的に発売されているというローカルな缶コーヒーがなぜベトナムにあるのかというと、それはマックスコーヒーの特徴である「甘さ」と関係しています。
そうマックスコーヒーの甘さは白砂糖ではなく、ベトナムコーヒーと同じで練乳が入っているんです。
マックスコーヒーの濃さは薄めですので、ベトナムコーヒーとは少し違いますが、ベトナムに来てマックスコーヒーが売ってあるのを見てびっくりする方も少なくありません。
ベトナムコーヒーの特徴的な苦味「ロブスタ種」とは
私たちが普段飲んでいるコーヒーの種類は「アラビカ種」。これは世界のコーヒー豆の7割を占めている品種で、風味がいいのが特徴です。
しかしベトナムで使われてるコーヒーの種類は「ロブスタ種」(学術的にはカネフォラ種)で、苦味が強く風味が弱いのが特徴です。
ロブスタ種はアラビカ種と比べ成長が早く、病害に強く、ベトナムのような低地栽培でも可能なので、ベトナムで多く栽培されています。
ベトナムはブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー豆輸出国で、日本ではコーヒー豆としてはあまり見かけないものの、インスタントコーヒーや缶コーヒー等によく使われています。
ベトナムはアラビカ種のその風味の少なさと独特の苦味を隠すために、バターなどで焙煎し、練乳を入れて味をごまかしました。こうして誕生したのがベトナムコーヒーです。
植民地支配による遺産?チャイ、コピルアク、ベトナムコーヒーの共通点
インドのチャイはもともとイギリスの植民地時代、高級な茶葉が全てイギリスに持って行かれてしまい、余った茶葉でインド人が紅茶を飲むようになったのが始まりです。
余りものの味の悪い茶葉を何とか飲める味にしようと、香辛料、ミルク、砂糖をたっぷり加えて誕生したのがチャイです。
今ではチャイはもはや「品質の悪い紅茶」ではなく、「インド風ミルクティー」として確立された飲み物になっています。
同様にベトナムコーヒーもフランスの植民地時代に、ベトナムの風土にあうロブスタ種のコーヒーの木が栽培され、その独特の苦味をごまかすため、バターやニュクマムで焙煎したり練乳を入れたりしました。
しかしチャイと同様、今では「アジアのコーヒーといえばベトナムコーヒー」というほど確立された飲み物になっています。
そしてベトナムでも飲むことのできる「世界一高いコーヒー」コピルアク(ジャコウネココーヒー)も同様です。
当時オランダの植民地だったインドネシアは、オランダ人にコーヒーの豆を全て持って行かれてしまったので、ジャコウネコのフンに残ったコーヒー豆を焼いて焙煎したのがコピルアクの始まりです。
このように植民地時代の悲しい歴史が、思わぬ副産物をもたらしたという意味でチャイ、コピルアク、そしてベトナムコーヒーには共通点があります。
ベトナムのコーヒー豆の特徴をいかしたベトナムコーヒーの種類
日本人にとってベトナムコーヒーとはあの独特の苦味と練乳の甘みが特徴となっているコーヒーですが、ベトナムでは他にもいろいろなコーヒーの種類があります。
ここでは本場ベトナムで飲まれている、ベトナムコーヒーの種類を紹介しますね。
Cà phê đên(nóng/đá)ブラックコーヒー(hot/ice)
エスプレッソコーヒーのような濃いコーヒーで、ロブスタ種独特の苦味が際立ちます。砂糖をいれなくてもバターで焙煎しているのでほんのり甘みがあります。
Cà phê sữa(nóng/đá)練乳入りコーヒー(hot/ice)
最も定番で多くの人が思い描くベトナムコーヒーです。ロブスタ種の苦味とバターの香りが練乳とよくマッチします。
Cà phê nâu(nóng/đá)ミルクコーヒー(hot/ice)
ベトナムコーヒーのカフェオレです。練乳が入っていないのでロブスタ種の苦味は生きたまま、ミルクでまろやかにしています。砂糖は入っていないので、「甘いのは苦手だけどベトナムコーヒーのブラックは苦くて飲めない」という人におすすめです。
Bạc xỉu(nóng/đá)ミルクと練乳コーヒー(hot/ice)
練乳と牛乳の両方がはいっているベトナムコーヒーです。Cà phê sữaよりもコーヒーを少なめに、練乳や牛乳をたくさん入れるベトナムコーヒーです。ベトナムコーヒー は少し甘すぎると思う方は下に溜まっている練乳を少しだけ混ぜて飲んでみることをおすすめします。ベトナム南部で誕生したコーヒーです。
Cà phê cốt dừa(đá)ココナッツコーヒー(ice)
ベトナムコーヒーの上にココナッツのシャーベットが乗っている、フラペチーノ風のベトナムコーヒーです。暑いベトナムでは一度飲むとクセになる美味しさです。
Sữa chua cà phê(đá)ヨーグルトコーヒー(ice)
名前の通りベトナムコーヒーにヨーグルトを加えたものです。ヨーグルトの酸味が程よくマッチしてとても爽やかな味です。ただし好き好きは分かれます。ベトナム北部で誕生したコーヒーです。
Cà phê Trứng(nóng)エッグコーヒー(hot)
卵黄に練乳を混ぜてフォーミングしたものをベトナムコーヒーの上に乗せたコーヒーです。ミルクセーキのような卵の濃厚なとろみを味わうことができます。ベトナム北部で誕生したコーヒーです。
【裏ワザ】ベトナムコーヒーの特徴を活かした簡単な作り方
ベトナムコーヒーは、濃い目のコーヒーに練乳を入れて飲むのが特徴です。インスタントコーヒーは濃さを自由に調整できますので、自宅でもベトナムコーヒーを作ることができます。
- インスタントコーヒー:3g
- 60度のお湯:30ml
- 練乳:20g
- コップに練乳を入れる。アイスの場合は氷をたっぷり入れる
- インスタントコーヒーにお湯を注ぐ
- インスタントコーヒーを練乳の入ったグラスに入れる
たったこれだけで本格的なベトナム「風」コーヒーを楽しむことができます。インスタントコーヒーの種類はなんでもいいのですが、せっかくなので次のような「ベトナム産の豆がたくさん入ったもの」を選びましょう。
こちらの商品は、ベトナム産のコーヒー豆を中心にブレンドしたインスタントコーヒーなので、ベトナムコーヒー に最適です。
もっと本格的に飲みたいなら、ベトナムで販売しているインスタントも日本で買うことができます。
【まとめ】ベトナムコーヒーは独特の苦味と練乳が特徴
ベトナムコーヒーの特徴は、日本ではあまり出回っていないロブスタ種のコーヒー豆を、バターやナンプラーを使って深煎り焙煎し、濃く抽出したコーヒーに練乳をたっぷり入れるというものです。
「濃いコーヒーに練乳を入れる」のがベトナムコーヒー の最も大きな特徴なので、自宅でも濃いコーヒーに練乳を入れればベトナム風コーヒーができます。
ベトナムコーヒーの特徴を知っていると、ベトナム旅行も楽しくなります。自宅で飲むベトナム風コーヒーもいいですが、できれば本場ベトナムに行ってあのエスニックなベトナムコーヒーの本場の味を楽しんでくださいね。